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5話目 転換点ドライブ:車が“未来”になるまでの百年史

2026 1/26
双輪ブログ 2025年12月
2026年1月26日

幽子ちゃん:「ねぇタカシ……車って、生まれ変わるたびに人間っぽくなっていくのね」

場所:夜の歴史博物館。古いフォードT型の展示の前で、タカシと幽子ちゃんが立ち止まる。


タカシ:
 「見てみぃ、これが“自動車の原点”やってさ。T型フォード。100年以上前の車やけど、こいつが“庶民の足”って概念を作ったんや。」

AIくん:
 「はい。1908年、フォード社が導入したアッセンブリーライン(組み立てライン)が、世界の産業構造を変えました。部品を流して作る方式により、1台の車を3分で組み上げられるようになり、自動車は“贅沢品”から“日用品”になったんです。」

幽子ちゃん(車のボディをなでながら):
 「“流れ作業”で命が吹き込まれるなんて、不思議ね……人間だって、こんなふうに効率よく作れたら……」

タカシ:
 「いやいや、それはホラー映画やで。けどフォードが作ったこの仕組みが、今のAIとロボットによる自動生産の原型って考えたら、すごいよな。」


AIくん:
 「続く1970年代、世界を揺るがせたのがオイルショックです。当時は“馬力こそ正義”という時代でしたが、燃料価格の高騰で一変。
 “いかに少ない燃料で走れるか”が最大のテーマとなりました。これが日本車の躍進の始まりです。」

幽子ちゃん(遠い目で):
 「時代が求めたのは“速さ”から“賢さ”へ……。愛より燃費、情熱より効率……なんだか切ないわ。」

タカシ:
 「詩的やけど間違ってへん。あの時、“燃費のよさ”っていう新しい価値観が生まれたんやな。
 今のEVの“航続距離競争”も、あの頃の省エネ思想の延長線上にあるんか。」


AIくん:
 「そして1990年代。安全技術の時代です。エアバッグ、ABS、衝突安全ボディなどが一気に普及しました。
 車は“速さを競うもの”から、“命を守るもの”へと進化したんです。
 この思想が、現在の**自動運転における機能安全(Functional Safety)**の原点です。」

幽子ちゃん:
 「なるほどね……安全って、“死なないこと”だけじゃなく、“誰かを失わないための技術”でもあるのね。」

タカシ:
 「おい、ちょっと泣けること言うやん。」


AIくん:
 「そして今、私たちは“第4の転換点”に立っています。ハードウェア中心の時代から、ソフトウェア中心の時代へ。
 デジタルツイン、AI、SDV……車は走る“プログラム”となりつつあります。
 T型フォードが“生産の革命”を起こしたなら、今の変革は“知能の革命”です。」

幽子ちゃん:
 「100年前の工場の流れ作業と、今のAI制御ライン……どちらも“命を組み立てる”作業なのね。
 でも今度は、人の手じゃなくて、データがそれをやってる。」

タカシ:
 「ほんまや。昔は鉄が動き出して驚いたけど、今は情報が走り出してるんやな。」

目次

まとめ:「車は、人間の“価値観”を映す鏡だった」

フォードが量産を発明したとき、世界は“速さ”を覚えた。
 オイルショックで、“賢さ”を学んだ。
 安全技術で、“優しさ”を思い出した。

そして今――AIとデジタルが、人間の“判断”を走らせようとしている。

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