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第3回 天井照明との格闘(対災害用車両改造)

2026 9/30
対災害用車両改造
2026年10月2日
目次

― 普通のクルマを、災害に備えるクルマへ。―

双輪自動車が取り組んでいる「対災害用車両」の開発。

この取り組みの出発点にあるのは、

「災害で困った時に、少しでも誰かの助けになりたい」

という想いです。

私たちはクルマの専門家です。

では、クルマの専門家だからこそできる災害への備えとは何だろう?

考えた末にたどり着いた一つの答えが、

「今ある普通のクルマを、対災害用に改造すること」

でした。

第一号のデモカーとして選んだのは、日産セレナ。

第1回では内装をすべて取り外し、第2回では複雑な形をした車内の床と格闘しました。

そして第3回。

今回のテーマは、**「天井照明」**です。


① まずは天井を剥がした状態から

【写真①:天井を剥がした状態】

こちらが、天井の内張りを取り外したセレナです。

すでに前工程で、防振材・断熱材を施工しています。

普段クルマに乗っているだけでは、まず見ることのない光景ですね。

今回は、ここに元々付いていた天井材を加工して、新しくフロアライトを埋め込んでいきます。

「照明を付けるだけなら、それほど難しくないのでは?」

と思っていたのですが……

セレナの天井は、そんなに単純ではありませんでした。


② 外した天井材を、まずは測量

【写真②:取り外した天井材を測量】

取り外した天井材を工場の床に広げます。

ご覧いただくと分かるように、セレナの天井材は大きな一枚物です。

しかも、真っ平らではありません。

エアコンの吹き出し口や既存の設備があり、場所によって凹凸もあります。

今回は、この天井に複数のフロアライトを取り付けます。

せっかく取り付けるなら、

できるだけ左右のバランスが良く、なるべく平らな場所へ取り付けたい。

そこで、まず取り付け位置を探していきます。


③ 曲面相手の位置決め

【写真③:レーザーを使った測量】

ここが今回、かなり苦労したポイントです。

メジャーや定規だけでなく、レーザーも使いながら位置を確認していきました。

クルマの天井は、住宅の天井のような平面ではありません。

しかも天井材の裏側には、エアコンのダクトなども配置されています。

表から見れば取り付けられそうでも、裏側を見ると取り付けられない。

逆に、設備を避けることばかり考えると、今度はライトの位置が不自然になってしまいます。

「ここなら平らか?」

「裏側に何かないか?」

「左右の位置は揃っているか?」

何度も確認しながら、一つずつライトの位置を決めていきました。


④ 位置が決まったら、いよいよ穴を開ける

【写真④:天井材への穴開け作業】

取り付け位置が決まったら、フロアライトを埋め込むための穴を開けていきます。

ここまで来ると、ちょっと緊張します。

測量している間なら、まだ位置を変更できます。

しかし、

一度穴を開けてしまえば、元には戻せません。

ライトの大きさに合わせて、一か所ずつ加工していきます。


⑤ 全部の穴が開きました

【写真⑤:すべての穴を開けた天井材】

こちらが加工を終えた天井材です。

丸い穴が、今回新しくフロアライトを取り付ける場所です。

最初の状態と比べると、少しずつ「対災害用車両」のための天井へと変わってきました。

とはいえ、この状態だけでは完成した姿をなかなか想像できません。

実際に車両へ戻して、ライトを点灯させてみます。


⑥ 点灯。雰囲気が一気に変わりました。

【写真⑥:フロアライト完成・点灯】

完成です。

写真では少し伝わりにくいのですが、実際にライトを点けてみると、

車内の雰囲気がずいぶん変わりました。

いかにも「クルマの中」という空間から、少しアットホームな、落ち着いて過ごせる空間へ。

照明一つで、こんなにも印象が変わるものなのかと感じました。

そして今回、もう一つこだわったのが明るさの調整です。

ON・OFFだけではなく、必要に応じて光量をアナログで調整できるようにしました。

夜に休む時と、何か作業をする時とでは、必要な明るさも違います。

今回はまず動作確認まで。

この後、バッテリーシステムとの接続を含めた本格的な配線施工へ進んでいきます。


エンジンを切ってから使える「明かり」

なぜ、対災害用車両に独立した照明が必要なのか。

実際に車中泊する場面を想像すると、理由はとてもシンプルです。

夜になってエンジンを切った後も、

食事をする。
荷物を探す。
着替える。
家族と話す。
そして眠る準備をする。

クルマのエンジンを切っても使える「明かり」は、車内で生活するうえで欠かせません。

災害時だからといって、ただ「車内に居られればいい」のではなく、

少しでも落ち着いて過ごせる空間にしたい。

それも、この対災害用車両で私たちが大切にしていることです。


次回、一気に「クルマの中身」が変わります。

ここまでは、

内装を外す。
床をつくる。
照明をつくる。

と、いわば車内空間の「下準備」が中心でした。

しかし、次はいよいよ大物です。

第4回
「バッテリーシステムとベッドフレームの組み立て」

ここから、対災害用車両らしい姿が一気に見えてきます。

しかも今回は、単純にフレームを組み立てるだけではありません。

3D CADを使って設計し、実際の車両に合わせて金属を加工していく。

設計図の世界と、実際のクルマとの違い。

そして細かな金属加工との格闘。

次回も、ぜひお楽しみください。

普通のクルマを、災害に備えるクルマへ。

双輪自動車の「対災害用車両 開発記録」は続きます。

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